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最優秀賞 「BPSDを見える化することで認知症ケアは変わるのか」プレミア東松戸

BPSD25Qを用いて、その重症度とあわせて、認知症ケアにおいて職員が抱く負担感、大変さを具体的に数値化できたことは、認知症チームケアを進めるうえでとても重要な一歩です。その後の検討過程で、どの職員の不安感を解消すべきかを明らかにした上で、優先的に統一的なケアの立案につなげており、単なる加算算定要件の一部を超えた活用が出来ていました。法人独自のケアマイスター制度、プレミアケアインデックス(介護サービス指標)との連動も図られた先進的な取組として最優秀賞を受賞しました。プロジェクトリーダーであり、認知症ケアマイスターの板倉智之さんにインタビューしました。

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Q.最優秀賞の受賞、本当におめでとうございます!受賞したお気持ちをお聞かせください。

A.ありがとうございます。驚きと同時に深い感謝の気持ちでいっぱいになりました。ただ、これは私個人の力ではなく、5ヶ月間にわたるプロジェクト期間中、真摯に入居者様と向き合い続けてくれた全ユニットの職員全員で勝ち取った賞です。 現場が直面していた「認知症入居者の増加」と「BPSD対応による疲弊」という最大の課題に対し、チームが一丸となって「見える化」に挑んでくれた成果が認められたことが何よりも嬉しかったです。私を信じて挑戦してくれたスタッフ、そして支えてくださった関係者の皆様に心から感謝しています。

Q.ケアを「数値化(BPSD25Q)」するという新しい取り組みですが、導入を始めたばかりの頃、現場のスタッフから戸惑いの声はありませんでしたか?

A.もちろんありました。介護現場では「大変さ」を感覚的に捉えがちですので、最初は「なぜ今さら25項目もの評価尺度を入れるのか」という困惑もゼロではありませんでした。 しかし、私たちが抱えていた最大の問題は、「職員ごとに捉え方や深刻度の判断が異なり、対応がバラバラで場当たり的になっていたこと」でした。その結果、経験豊富な特定の職員だけに困難対応の負担が集中していたのです。 この悪循環を断つために、「なんとなく大変」という主観を客観的な「数値・スコア」という共通言語に変える必要性(選定理由)を丁寧に説明しました。全入居者を対象にスクリーニングを行い、「Aさんの対応が大変」という個人の感覚をチームの共通言語へと変えていくことで、徐々に現場の理解とモチベーションが変わっていきました。

Q.夕方に不安が高まるA様への「環境調整」や「声かけの統一」など、具体的な成功事例が印象的でした。チーム一丸となってケアを揃える中で、どのような手応えを感じましたか?

A. 非常に大きな変化を感じました。A様(80代・要介護4)の事例では、夕暮れ症候群による大声や介助拒否に対し、BPSD25Qで「不安」「興奮」のスコアが突出していることがデータとして明確になりました。これにより、「A様の夕方の対応が最優先課題である」という共通認識を多職種で持つことができたのです。 ユニット会議では、介護職・看護職・相談員が「うまくいった関わり方」も「逆効果だった失敗事例」も正直に出し合いました。それを基に記入した「ワークシート(生活歴や行動の背景を整理する記入用シート)」を全員で共有し、「〇〇しましょう」ではなく「一緒に〇〇しませんか」という同意を求める言葉の統一や、照明を柔らかくして音楽を流す環境調整を徹底しました。 結果、A様の大声や拒否が劇的に減少し、ケアがスムーズになっただけでなく、職員の「一人で抱え込む」プレッシャーが解消されたこと、これこそがチームケアによる確かな手応えでした。

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Q.1年間で離職率が半減したことは驚異的です。なぜここまで劇的に、職員が辞めない職場へと変わったのでしょうか。

A.施設全体の様々な環境改善の成果でもありますが、このプロジェクトが生んだ「一人で悩まない、チームで支え合う文化」が決定打になったと考えています。 今回のプロジェクトでは、全ユニットから抽出した最困難事例である7名に対して集中的に介入を行いました。その結果、約40%にあたる事例で介護者負担度スコアが大幅に低下しました。一方で、身体状況の影響などで数値上の改善が見られなかった事例も3名ありました。 しかし重要なのは、改善が困難な事例であっても「なぜ難しいのか」をチームで共有し、「一人で抱え込まない体制」を作れたことです。BPSDの改善による直接的な負担軽減だけでなく、「本音を話せるユニット会議」が定着したことで孤立感がなくなり、それが安心感となって離職率低下という結果に結びついたのだと確信しています。

Q.最優秀賞を受賞したプレミア東松戸のチームですが、板倉さんが次に見据えている「これからの目標」を教えてください。

A.今回の最優秀賞はゴールではなく、PDCAサイクルを回し続けるための新たなスタートラインだと捉えています。5ヶ月という期間で一定の成果は出ましたが、私たちの使命は入居者様が「その人らしい生活」を送り続けられるよう支援することです。 そのためにも、私自身が今年「認知症介護指導者養成研修」を受講し、さらに専門的な知識を深めて現場へ還元・共有していきます。感覚に頼らないデータに基づく認知症ケアの質をさらに高め、職員がプロフェッショナルとして誇りを持って働ける環境を強固にしていきます。そして、プレミア東松戸で培った「数値化と統一ケア」のノウハウを地域や他施設へも発信し、介護業界全体の認知症ケアの発展に少しでも貢献できれば幸いです。

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